
旅するパティシエななころです。
22歳のころ、ケーキ屋さんの仕事を辞めたタイミングで、3か月ほどバックパッカー旅をしました。
ニューヨークからタイという全く計画性のないルートで真夏に東南アジアに来て、バンコクが肌に合わず、逃げるように、沈んだ気持ちでカンボジアに行きました。そこで出会ったカンボジアのおやつについて綴ります。
最悪から始まったカンボジア

ワゴン車や軽トラの荷台を乗り継ぐハードな陸路でカンボジアに入国。夏の暑さが苦手な私は体力的にもギリギリでした。
へとへとになって案内されたホテルでは、
フロントのカンボジア人のおじさんがアンコールワットのぼったくりツアーにしつこく勧誘してきてなかなか解放してくれなくて。

多分余裕がなく、精神的にも追い込まれいて、

アンコールワットなんか行きたくないっていってるやろ!!!
って、日本語でめちゃめちゃ怒って部屋に逃げました。(アンコールワットには行きたい。)
部屋は6人部屋なのに私しかおらず、ひとりでベッドに寝っ転がると見上げた天井にはヤモリがいて。
シャワー室にもいたけど、もうどうでもよくなってヤモリといっしょにシャワーを浴びました。
だんだん、

なんでこんなところにひとりで来てるんやろ、、
という気持ちになってきて。
ぼったくりツアー宿だし、強い言い方をして逃げてきてしまったし、お客さん誰もいないし。なんだか怖くなって、夜中に近くの日本人宿に移りました。
日本人宿

日本人宿はニューヨークで出会った人が教えてくれた宿。日本人の優しいオーナーさんとカンボジア人のスタッフさんがいて、とてもアットホームな宿でした。
オーナーさんの心遣いで、その日泊まっている人たちでBBQなども開催してくださいました。
リビングのような共有テラスで、何をするわけでもなく、のんびりすることもありました。

久しぶりの日本語で、久しぶりにまともに人と話して。
ひとり旅ってひとりなのが気楽で、ひとりが大好きだからしているのに、しんどくなったらやっぱり人に癒されるんだ、母国語で、人と話すことで回復することもあるんだと思いました。
かぼちゃプリン。
その宿で、カンボジア人スタッフの女の子がカンボジアのお菓子をふるまってくれたことがありました。
それが、今でも忘れられない「かぼちゃプリン」。

カンボジアでは「ロッパウソンクチャー」とよばれ、
かぼちゃの種、ワタをくりぬいて、ココナッツミルクを使ったプリン液を流し込み、オーブンでじっくり焼いたものです。
それを切り分けてくれて、温かいまま、まわりのかぼちゃの実、皮ごといただきました。

ほんっっとうに美味しかった、、
当時は「旅するパティシエ」なんて名乗っておらず、
アメリカのお菓子を学んでいても、他にも世界のお菓子を学ぼうとは思っていませんでした。
でもそのかぼちゃプリンの美味しさが衝撃で。

私が知らない美味しいお菓子もまだまだたくさん世界中にあるんだ!
と気が付きました。
ケーキ屋さんやホテルじゃなくって、お菓子作りのプロではない、宿のスタッフの女の子が作ってくれたものというのも、私にとってすごく学びで。
もちろん、専門店、プロのお菓子も気になるのですが、ごく普通に家庭でつくられるようなお菓子って、よりリアルな暮らし、「文化」に触れられるような気がします。
オーナーさんが一緒に甘くて冷たいベトナムコーヒーも淹れてくれて、それを色んな場所からこられた旅人さんと一緒に楽しんで、本当に素敵な時間でした。

超回復
それから、カンボジアのナイトマーケットにもいったり近くの宿の人と交流したりもして、
アンコールワットやベンメリア、プレアビヒアという絶景も見ることができました。



最悪な気分で始まったカンボジア旅。
美味しい出会いと、久しぶり人との交流で超回復して、タイに戻るとあんなに逃げたいと思ったバンコクを楽しめるようになっていました。
かぼちゃプリンを思い出すと、そのときの心情とか一緒に食べた人も一緒に思い出されます。そうやってたくさんお菓子の思い出を増やしていきたいなぁ、と思います♪
コメント